航空法によるドローンの飛行規制 ~許可・承認が必要な場合~

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ドローンは手軽な側面もある一方で、航空法による規制があり、法の理解が難しくもあります。今回は航空法の無人航空機に関わる部分をピックアップし、航空局が公表しているガイドライン等の内容も合わせつつ、全体像を簡単に説明していきます。

現在、以下①②の空域、③~⑧の方法では、無人航空機を屋外で許可・承認無く飛ばすことが航空法で禁止されており、飛行させたい場合には国土交通大臣に許可・承認を受ける必要があります。

《飛行の禁止空域(第132条)》

①空港周辺または150m以上の上空

②人口密集地区(DID=Densely Inhabited District)

《飛行の方法(第132条の2)》

③夜間飛行

④目視外飛行

⑤第三者の30m未満

⑥催し場所の上空

⑦危険物の輸送

⑧物件投下

ただし、重量が200g未満のものは無人航空機から除外されるため、航空法の規制は200g以上のものに限られます。重量が200g未満の無人航空機は、飛行可能時間等の機能・性能が限定されており、墜落等により人や物件に衝突した場合であっても、被害はきわめて限定的であると考えられるとともに、主に屋内等の狭い範囲内での飛行が想定されるためです。

申請手続は飛行開始予定日の10日前(土日祝日等を除く)までに、航空局または空港事務所に対して行う必要があります。

①~⑧について簡単に説明していきます。

①空港周辺または150m以上の上空

画像出展:無人航空機の安全な飛行のためのガイドライン (航空局)

航空機が安全に離着陸するためには、空港周辺の一定の空間を障害物が無い状態にしておく必要があるため、航空法で制限表面が設定されています。制限表面は進入表面等の複数種類の表面から成り、同一の点において2つ以上の面積が重なるときは最も低い表面が適用されます。また、設定の無い表面がある空港もあるため、実際に設定される制限表面の空域はそれぞれの飛行場で異なります。

「150m以上の上空」についてですが、この高さは海抜高度ではなく、航空機が飛行している直下の地表、水面からの高度差のため、高い山であっても飛行させることが可能です。ただしDJIの場合、表示されるのが離陸ポイントからの高度差のため、飛行中に谷を通過する場合は違法になる可能性があり注意が必要です。

②人口密集地区(DID=Densely Inhabited District)

日本の国勢調査において設定される統計上の地区で、密度基準、規模基準の両方を満たす地区です。地区が属する市町村に囚われず、実質的に人または家屋が密集しているかを表しており、国土地理院のHPの地図にて該当地区を確認することが出来ます。

ここで注意すべきは、私有地内での飛行であっても、強風等により予期せぬ場所に飛ばされることも想定されるため、DID内である限り飛行の禁止空域に該当するということです。

DIDは街区又は道路、河川、水路、鉄道及び軌道の線路その他恒久的な施設等によって区画した「基本単位区」を単位としていて細かいため、飛行させる場所がDIDなのかを自分で確認しておいた方が間違いがありません。

③夜間飛行

国立天文台が発表する日の出の時刻から日の入りの時刻までの間が日中で、それ以外が夜間となります。

日出及び日没の時刻は地域によって異なるため、いつが夜間かも地域によって異なります。

ちなみに、承認を貰ったとしても昼間と同じような飛行は出来ないため注意が必要です。

例えば、航空局が定めた夜間飛行のマニュアルの中に、「飛行高度と同じ距離の半径範囲内に第三者が存在しない状況でのみ飛行を実施する」との記載があり、高度が上がれば上がるほど第三者の立入を禁止する範囲が広がってしまうということです。

④目視外飛行

飛行させる無人航空機の位置や姿勢を把握するとともに、その周辺に人や障害物等がないかどうか等の確認を確実に行うため、目視による常時監視を行いながらの飛行に限定されています。

ここで、「目視」とは、無人航空機を飛行させる者本人が自分の目で見ることを言うため、補助者による目視は該当せず、また、モニターを活用して見ることや、双眼鏡、カメラ、FPV等を用いて見ることは視野が限定されるため「目視」にはあたりません。

⑤第三者の30m未満

飛行させる無人航空機が地上又は水上の人又は物件と衝突することを防止するため、当該無人航空機とこれらとの間に一定の距離(30m)を確保する必要があります。

ただし、ここでの「人」には無人航空機を飛行させる者及びその関係者は含まれません。

物件に関しては、田畑用地、道路の路面、堤防、鉄道の線路等の土地と一体となっているものや、樹木や雑草等の自然物は、距離を保つべき物件には該当しないと航空局の資料に記載はあるものの、解釈が難しいところだと思います。

⑥催し場所の上空

航空法には「多数の者の集合する催し」と書かれており、どのような場合が「多数の者の集合する催し」に該当するかですが、催し場所上空において無人航空機が落下することにより、地上の人に危害を及ぼすことを防止するという趣旨に照らします。

つまり、集合する者の人数や密度だけでなく、特定の場所や日時に開催されるものかどうか、また、主催者の意図等も勘案して総合的に判断されます。

具体例として、祭礼、展示会、コンサートは該当しますが、自然発生的である混雑による人混みや信号待ちは該当しません。

⑦危険物の輸送

火薬類、高圧ガス、引火性液体等の危険物の輸送は禁止されていますが、当該飛行に必要不可欠であり、飛行中、常に機体と一体となって輸送される等の物件は、輸送が禁止される物件に含まれません。

例えば、機体の飛行のために必要な燃料や電池、業務用機器(カメラ等)に用いられる電池等です。つまり、ハイブリッドドローンの燃料は該当しません。

⑧物件投下

地上の人等に危害をもたらすおそれがあるとともに、物件投下により機体のバランスを崩すなど無人航空機の適切な制御に支障をきたすおそれもあるため、禁止されています。

水や農薬等の液体散布は物件投下に該当しますが、輸送した物件を地表に置くのは物件投下には該当しないため、物流での使用は該当しないことになります。

《捜索、救助等のための特例(第132条の3)》

事故や災害等の発生時における人命の捜索、救助等を行うよう、国または地方公共団体から依頼された場合(国または地方公共団体自体も含む)には、上記規定は適用されません。

この場合は、飛行の安全性確保を自主的に行う必要があります。

《飛行の方法(第132条の2)》

ちなみに第132条の2は第1号から第10号まであり、上記③~⑧の6点は承認を貰えば飛行させることが可能でしたが、残りの下記4点に関しては必ず守る必要があります。

・アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと

・飛行前確認を行うこと

・航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること

・他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと

以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

執筆:開発部T

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