各業界が注目する先端素材!CFRPとは?

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今回のテーマは、航空・宇宙からスポーツ・レジャーまで幅広い分野で利用されているCFRPについてです。所謂「カーボン」で、軽くて高価というイメージを持たれている方も多いかと思いますが、改めて以下で簡単に説明していきます。

ドローンのような空を飛ぶものに関して、部品の軽さは非常に重要です。産業用ドローンでは、ペイロードと飛行時間が重要なスペックとして挙げられます。

ペイロードは、モーターなどの性能によって定められる「最大離陸重量」から「機体重量」を引いた重量のことで、ドローンが何 kgまで持ち上げられるかを示す値になります。

飛行時間については、ローターにかかる負荷の大きさによって消費電力が変わるため、バッテリーや燃料が尽きるまでの時間が変わってきます。

つまり、機体の軽量化はドローンの性能を決める一つの重要なファクターになります。

そこで、エアロパーツによく用いられるのが単にカーボンと呼ばれることもあるCFRP(Carbon fiber reinforced plastic:炭素繊維強化プラスチック)です。

CFRPは、アルミ合金より軽量(比重約1.5~1.6で、鉄の1/4以下)ですが、鉄より高強度(炭素繊維単体だと鉄の10倍以上の強度)で、鉄と同等かそれ以上の高い剛性を持つ材料です。

CFRPには大きく分けてドライカーボンとウェットカーボンの2種類があります。見た目の違いはありませんが、前者の方が、事前に樹脂を染み込ませたプリプレグ材を用いて特殊な方法で圧着するために製造コストは高く、強度が高いため軽量化が可能になります。

CFRP部品は見た目が美しく、装飾として利用されることもあります。

CFRP表面の模様。左が平織、右が綾織。

当社のドローンには綾織ドライカーボンが使用されています。

開発部で3D-CADを使用して、新製品・機能の開発・検討や、顧客のニーズに合わせた設計を行い、自社内でCFRP部品・フレームの加工・組み立てを行っています。

ドライカーボンシートの加工には、特注の大型CNCフライスを使用しており、設計が完了し次第データを送信し、素早く精密にシートを切削することが可能です。

CNCフライス:サイズの大きなCFRPシートも自由自在に切削可能

また、CFRPとは別に、マイクロカーボン強化ナイロンや炭素繊維などのカーボン材料を造形できる3Dプリンターを所有しており、PLAやABS樹脂等のプラスチックを使用する従来の3Dプリンターと比較すると、造形物の強度と造形の精度がいずれも非常に高く、部品の厚みをより薄くすることや、細かい細工を施すことが可能です。

Mark Two:炭素繊維を積層できる世界初の3Dプリンター

カーボン材料は様々な点において優れた素晴らしい材料です。しかし、あまり注目されてはいませんが、CFRPなどのカーボン材料は、製造の難しさからくるコスト面の問題に加えて、リサイクルという課題があります。

今後さらにカーボン材料の需要は高まっていくと思われます。技術が更に発達し、より容易に製造でき、環境にも優しい材料になれば、ドローンは更に進化し、社会に貢献していくでしょう。

現在様々な企業や大学で研究が行われている分野ですので、今後の発展が楽しみですね。

以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

執筆:開発部N

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