アルミ材の表面処理 アルマイトの特徴

スタッフブログ

久しぶりの学生スタッフブログです。

6月に入り大学の活動基準が緩和され、修士課程の学生も研究室へ登校できるようになりました。3密にならないように配慮しながらの研究になりますが、大学で実験や研究をできる喜びを感じております。

本日の話題は、アルミ材の表面処理の1種であるアルマイト(陽極酸化)処理についてです。

アルミニウムは空気中でも酸化され薄い皮膜を作るので一般的に耐食性が良いと言われています。しかし、この皮膜は非常に薄いため環境によっては腐食してしまいます。

そこで、以下の図のように電解液中でアルミニウムを陽極につなぎ表面を強制的に酸化させるアルマイト処理を施すことで化学的に安定させ、耐食性を向上させることができます。

同じく金属の表面処理としてめっき処理というものがあります。めっき処理はアルマイト処理とは逆に陰極に製品を取り付け、陽極に皮膜となる金属を取り付け電解し、陰極で還元析出させ表面を処理します。

両者は皮膜の生成の仕方も異なります。下図のようにアルマイト処理は製品自体が溶解しながらもともとの表面の上下にそれぞれ成長皮膜、浸透皮膜と呼ばれるハニカム状の皮膜が成長します。一方めっき処理は素地と異なる金属が表面を覆っていきます。このためアルマイト処理のほうが寸法の変化が少なくはがれにくいコーティングが行えます。

アルマイト処理に使用される電解液には硫酸やシュウ酸があります。

硫酸アルマイトで生成される皮膜はほぼ透明であり、シュウ酸アルマイトではやかんのようなきつね色の皮膜が生成されます。

アルマイト皮膜には成長とともに無数の微細孔が発生します。

耐食性を確保するためには、この孔に蓋をする封孔処理を行う必要があります。

また、封孔処理を行う前に製品を染料につけることでカラーアルマイトという着色処理ができます。陽極酸化処理を行った後に染料に漬け込むことで、微細孔に染料が入り込みます。この上から封孔処理をすることで孔の表面に水和物の膜ができ、染料が押さえ込まれて着色をすることができます。カラーアルマイトでは赤・青・緑など様々な鮮やかな色にも着色することが可能です。

このようにアルミ製品にアルマイト処理をおこなうことで、耐食性や意匠性に優れた部品を作ることが出来ます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

執筆:開発部N

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