ハイブリッドドローンが長時間飛行できる理由

数kgの荷物を運べるドローンは世の中にありますが、飛行時間が短く、せいぜい20分程度しか飛べないものがほとんどです。数kgの荷物を運びつつ、安定して長時間飛行できるドローンは無いのだろうかと思っている方もいると思います。

実はAGLは、最大ペイロード約3kg、最大飛行時間約3時間の、エンジン+バッテリーを搭載したハイブリッドドローンを開発済みですが、ハイブリッドドローンがなぜ長時間飛行できるのか、その理由を2つの観点から説明します。

1. 機体質量(ペイロード)と飛行時間のトレードオフ

ドローンは電力を使用してローターを回転させ、空気に鉛直下向きの運動量を与え、その反作用で揚力を得ています。機体が重い場合は、より大きな揚力を発生させるためにローターの回転数を上げる必要があり、消費電力も大きくなります。

一方で、同一機体で飛行時間が長くなると、消費電力自体は時間変化しなくても、その電力を消費する時間が長くなります。

電力量[Wh]は電力[W]を時間で積分したものですので、機体が重い場合も、飛行時間が長い場合もどちらも消費電力量は大きくなります。つまり、各ドローンが潜在的に保持している電力量を、機体質量と飛行時間で取り合っており、機体質量(ペイロード)と飛行時間はトレードオフの関係にあると言えます。

2. ガソリンとLipoバッテリーの質量エネルギー密度

1.の内容を踏まえると、大きなペイロードを確保し、長時間飛行するためには、質量が小さくて大きな電力量を保持できるエネルギー源が必要になります。それはつまり、質量エネルギー密度(単位質量あたりのエネルギー)が高いエネルギー源です。

バッテリードローンで通常用いられているLipoバッテリーと、ハイブリッドドローン(エンジン)で使用するガソリンの質量エネルギー密度を比較すると、後者の方が高いです。その事実からすると、ガソリンを使用するのが良い気がしてしまいますが、ガソリンを使用するためにはエンジンを搭載する必要があります。つまり、そのエンジン質量を相殺するだけのアドバンテージがあるのかを判断する必要があります。

エンジンは、保持電力量が小さい(機体が軽く、飛行時間が短い)とき、エンジン自体の重量は加算されてしまうため、Lipoバッテリーに対して不利です。一方で保持電力量が大きくなると、質量エネルギー密度の高さが効いてきて、エンジン質量のディスアドバンテージを補い、一定以上の保持電力量になると逆転します。

ちなみに、容量の大きなバッテリーを積めば積むほど、バッテリー質量は増加するが、その増加に発生電力量が打ち勝ち、ペイロードや飛行時間を増やせるのではないかと思う方もいるかもしれません。当たっている側面もありますが、考慮すべき点が2点あります。

1点目は、最大離陸質量が25kg以上になると、機体の耐久性、安全性等で厳しい審査基準が適用されるようになるため、出来るだけ25kg未満に抑えたい点です。

2点目は、必要な電力が、機体質量に対しておおよそ指数関数的に増加する点です。つまり、バッテリー容量を増加させすぎると、消費電力の増加が大きくなり過ぎて、逆に飛行時間が低下していきます。

以上です。

長時間飛行できるハイブリッドドローンが気になった方は、ぜひAGLまでお問合せください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

執筆:開発部T